世界に選ばれた建築。
Architizer A+Awards 2026「Architecture + Environment」部門 Popular Choice Winner。
なぜ、この建築なのか。
コンクリート基礎に頼らず、土地の土と地域の木を核に建てる。それは、この土地を傷つけずに在るための選択。
いつか役目を終えたとき、大量のコンクリート基礎に頼らないこの建物は、静かに大地へ還っていきます。
土壁
敷地の土を掘り、藁と合わせて半年かけて発酵させる。
職人が手で塗り重ねた壁は、季節とともに静かに色を変えていく。
土壁は湿度の変化を緩やかにし、空間に穏やかな質感をもたらす。夏はひんやりと、冬はやわらかく。
既製品にはない手の跡と、時間の厚み。ここでしか出会えない、生きた壁です。
構造
105本の木杭を地中へ打ち込み、土と木の摩擦だけで地盤を締める。
大量のコンクリート基礎に頼らない、古くて新しい工法。掘削も、残土も出さない。
土地を削らず、傷つけず、大地とゆるやかに結ばれて建つ。
300年の記憶に、現代の快適を。
Néは、江戸時代からこの地域に関わってきた本間家旧居の一角に建っています。長く人の手によって守られてきた土地に、新たな役割を与え、次の時間へ渡すことも、この場所をつくった理由の一つです。
古い梁や土壁の手触りはそのままに、空調も水回りも、現代の心地よさを備えています。
古いだけでも、新しいだけでもない。歴史の落ち着きと、いまの快適さが同居するから、長く過ごしても疲れません。
ただ静かなだけ、ではない。
深い庇が光をやわらげ、土壁が湿度を整え、木が足音を吸う。視界に入るのは自然だけ、聞こえるのは風と鳥の声だけ。
電波も情報も遠ざかり、張りつめた感覚がゆっくりほどけていく。何もしないことが、ここでは贅沢になります。
泊まるからこそ、味わえる。
夕暮れには土壁が橙に染まり、夜は灯りを落とすと、土と木が闇を深くする。朝はやわらかな光で、自然に目が覚める。
同じ空間が、時間とともに表情を変えていく。この移ろいは、一泊して、ここで朝を迎えた人だけのものです。